今まで、レバノン、ロシア、アルゼンチンの財政破綻の流れを書いてきたけど、
この三国は自国通貨建て国債を発行できて、固定為替相場制であった。
ユーロ圏はユーロを自由に発行できず、為替レートは欧州中央銀行が調整する。
欧州中央銀行はユーロ圏の一国の都合で通貨発行したり為替レートを調整しない。
つまりユーロ加盟国は財政政策、金融政策を自由に執れない。
自国通貨を発行できる国は、貿易赤字が続くようであれば、為替レートを切り下げて自国製品を安くして売りやすくすることもできて、外貨に両替するための通貨発行もできたりする。

例えばトヨタがミニカーを製造して300円で輸出するときに1ユーロ100円だったら、
ユーロ圏はミニカーを買うのに3ユーロかかる。
他の国のミニカーの需要が増えてきて、トヨタのミニカーが売れなくなってきたら、
為替切り下げをして1ユーロ150円にすると、3ユーロだったのが2ユーロで買えるようになる。
そうなるとまたトヨタのミニカーが売れるようになる。
通貨安になると輸入物価が上がっちゃうけどね。
こういう風に為替介入とかで輸出額の調整ができる。
でもユーロ加盟国はそういうことができない。
ユーロ圏の国々がユーロ圏を相手に貿易するとなると、価格や品質での勝負となる。
ほかの国々の同業他社とライバル関係になるので激しい経済競争に参加することになる。
ここでいう競争とは貿易収支を黒字にするという意味。
低価格になると需要が増えて国際競争力が高まるとしても、
為替レートの調整で輸出品の価格を下げることはできないので、
自国内での物価を下げることになる。
ユーロ圏の場合、自国の物価がそのまま輸出品の価格になる。
共通通貨のユーロ使ってるから為替レートっていうのがないよね。
だから良い物を安く効率よく大量に生産できるような国は競争力が強い。
その反対の国は悲惨だね。
主要な貿易相手がユーロ圏で供給力生産力が弱い国は、
貿易収支が赤字になってしまう。
輸入するのにユーロが必要だけど、貿易赤字が続くのでユーロが足りなくなる。
そこでユーロ建て国債を発行してユーロを集めるんだけど、利払いがユーロなんだよ。
輸出でユーロを稼げればいいのに、輸入と利払いでユーロが減ってデフォルトになる。
競争力も弱くて貿易赤字もあると国債の金利も上がって利払いがきつい。
ユーロ圏の場合、財政金融政策の自由がほとんどないから、ユーロ使ってるのに、
ユーロで破綻するんだよ。
ユーロ使ってるのに自由に発行できないから外貨みたいなもんだよね。
自国通貨建て国債を発行できる国は外貨建て国債の債務不履行になるのに、
ユーロ使ってる国がユーロ建て国債で破綻するんだよ。


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