貿易黒字が金融赤字になるのはなぜか?

結論から言うと、経常黒字は必ず金融赤字になります。
なぜなら、輸出で得た外貨は最終的に海外投資や海外資産購入に使われるからです。
その説明になります。

前回、経常収支とは?でS-I=CA、国内貯蓄ー国内投資=経常収支という式の説明をしました。
経常収支は貿易収支、第一次所得収支、第二次所得収支で構成されているということでした。
でも、日本は対外資産が世界最大で第一次所得収支が莫大なせいで経常収支は基本的に黒字になるので、この構成だと経常赤字を想像しにくいので、第一次所得収支、第二次所得収支を無視した、
教科書的な経常収支、つまりS-I=(X-M)で経常収支を考えていきます。
ちなみにXはエクスポートで輸出、Mはインポートで輸入のことです。

その前に、金融収支について説明しておきます。
経常収支と金融収支は経常収支+金融収支=0という関係があるので、
経常収支が黒字だと金融収支が赤字になるという関係があります。
そして対外投資が増える、海外資産の購入が増えると金融収支は赤字、外国人による対日投資が多いと金融収支は黒字になります。
海外の資産を買ってるのに赤字、外国人に日本の資産を買われて黒字なんておかしいだろって思うかもしれないけど、考え方として金融資金が国外に流出したら赤字、国内に流入してきたら黒字っていう認識でお願いします。
海外の金融資産を買うってことは、国外で資金を使うので国内から流出することになるし、外国人が日本の資産を買うのが増えると、それだけ資金が流入するから黒字と考える。
この資金の出入りの収支が金融収支です。

あとS-I=(X-M)この式で考えていきますって書いたけど、貿易収支で考えるって意味です。
ちなみにこの式は恒等式といって、この関係が常に成り立ちますっていう式です。
S引くIはX-Mになるという意味ではありません。
原因と結果を表してるのではなく、この関係が常に成り立っているという意味です。

それでは貿易収支と金融収支の関係をお金の流れを見ながら確認します。
まずは貿易黒字の場合、単純に輸出で稼いだ場合を想定します。
以下4つの団体の資金の流れ資産負債を考えます。
米輸入企業:アメリカの輸入企業
米銀行:アメリカの市中銀行
日輸出企業:日本の輸出企業
日銀行:日本の市中銀行

①米輸入企業の純資産が米銀行に100ドルあるとします。
この時の米輸入企業の資産負債、米銀行の資産負債は以下の通り。
米輸入企業が米銀行に100ドル預金があり、それは米銀行にとって米輸入企業に対する負債である。

②米輸入企業が日輸出企業の製品を輸入のために代金100ドルを払うとします。
米輸入企業の資産100ドルが無くなり資産0となります。
それと同時に米銀行の米輸入企業に対する負債もなくなり0になります。
米輸入企業へ返すお金がなくなるからです。
しかし、米銀行は日本へ100ドルを送金する債務があるので100となります。

③このとき米銀行は日銀行が持つコルレス口座に100ドル送金する負債があり、日銀行は米銀行に対する100ドルの債権があり、日輸出企業へ送金する債務がある。
コルレス口座ってのは市中銀行が持つ国際取引用の口座のこと。

④米銀行が日銀行に送金します。
米銀行の日銀行に対する負債が消えると同時に、日銀行の米銀行に対する債権が消えます。
そして日銀行は日輸出企業に輸出代金を送金する債務があります。

⑤日銀行は日輸出企業に輸出の売り上げ代金を送金する債務があり、日輸出企業はそれを受け取る債権があります。
だがしかし、企業は税金を納めたり給料を払ったりするのに円が必要となります。

日本でドルなんて使えねぇーんだよ!ってことで日銀行は為替市場でドルを売って円を買います。
両替するってことですね。
⑥両替してから日輸出企業に送金します。
1ドル=150円であれば、100ドルは15000円となる。
日銀行の支払い義務は100ドルから15000円になり日輸出企業の銀行預金として15000円を計上し、日輸出企業は利益を得るという流れです。

本当はもっと細かい過程があるんだけど、こんな感じ。

今度は両替のところを確認します。
銀行が輸出代金を両替しますが、ドルから円に両替したいので、円を持っててドルに両替したい人と為替取引をすることになります。
為替取引は両替のこと、詳細はしらべてください。
円をドルに両替したいのは、国内の輸入業者とか海外資産を買いたがってる機関投資家とか。
この人たちが、銀行のドルと自分の円を両替してドル建ての資産を買います。
輸入品含めてね。
両替したドルで海外のドル建て資産を買うと、資金流出となり金融収支赤字となる。
ということで、貿易で黒字になると金融収支が赤字になる流れでした。

次回はこんな感じで貿易赤字の説明をします。

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