どうする財源の第5章で経常収支が赤字になると、海外の日本国債保有比率が上昇する可能性があるという所があって、何で?って思ったんだけど、記事の更新にずいぶん時間がかかったのは、GDPの恒等式と経常収支の恒等式の関係を理解するのに時間がかかったからだ。
今回は恒等式を整理する。
まず経常収支って財務省のサイトで定義があって、「貿易・サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支の合計。」と書いてある。
それぞれ細かいことが書いてあるんだけど、第一次所得収支は主に投資収益で、第二次所得収支はODAとか国際機関拠出とか外国人の仕送りとか。
外国人労働者が働いたお金を自国に送金とか、日本はODAとか国連とかWHOとかに払う金が多くて国外にお金が移動するから、第二次所得収支は基本的に赤字。
経常収支の式は内閣府では、
国内総生産ー税+海外所得受取ー消費ー投資+税ー政府支出=貿易収支+海外所得受取
となっていて、貿易収支+海外所得受取を経常収支と簡略化して定義している。
恒等式の前提として、
CA:経常収支
Y:国内総生産
C:民間消費
I:投資(民間、公的)
G:政府支出
(X-M):貿易収支
S:国内貯蓄
Sp:民間貯蓄
Sg:財政収支
T:税
とする。
さらにGDP恒等式のGは教科書的には政府支出と政府固定資本形成つまり政府の投資も含まれているが、SNAに準拠するとGは政府支出のみで、政府の投資はIに含まれる。
だからここでのIは民間投資と政府投資となる。
SNAってのはe-Statより国債比較できるように定めた統計の作成の仕方です。
以前こんなのも書いたので興味あれば。
あと、Gには政府投資は含まないの根拠については、こちらから。
第一部 フロー編 (1)統合勘定について 1)国内総生産勘定(生産側及び支出側)
②勘定の貸方(下段)は、のところで、
構成項目としては、消費支出として民間及び政府最終消費支出(また、消費概念が二元化されているため、家計及び政府現実最終消費を再掲)、投資支出として総固定資本形成(及び内訳としての無形固定資産)及び在庫品増加に加え、海外から国内生産物に対して行われる支出として財貨・サービスの輸出及び輸入(控除)が示されている。
と書かれている。
したがってSNA基準では、消費は民間消費と政府支出ということで、Gを政府支出とすれば、Iに政府投資が含まれるということになる。
ようは消費と投資と貿易で区切ってるわけだ。
内閣府の経常収支の式を恒等式で表し整理していくと、

左辺はTが相殺されるので整理すると、

海外所得受取は第一次所得収支に相当し、第二次所得収支に相当するものが無いので、厳密に経常収支にするために第二次所得収支を両辺に足す。


左辺の国内総生産と第一次所得収支と第二次所得収支と消費と政府支出を合算したものが、国内貯蓄Sというものに置き換えられる。


結果S-I=CA → 国内貯蓄ー国内投資=経常収支となる。
次回、S-IでCAが赤字になるとどうして海外の日本国債の保有比率が上がる可能性が生じるのかという所を書きたいと思う。

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